書評:外来種は本当に悪者か?-The New Wild-(フレッド・ピアス)

書評

うん、ちょっと考えさせられちゃいましたね…

いわゆる外来生物の中には、在来種を駆逐する勢いで繁殖したり、農業の邪魔になったり、「悪さ」をするものがいるのは確かです。

でも、「在来種」「外来種」という区分は、それほど絶対的なものなのでしょうか?

在来種とされる生物種だって、いったい何時からそこに居たのか?

私たちが守りたい「手つかずの自然」なんてものは、本当にあるのか?

外来種はすべて歓迎せよと言うつもりはない。身近な生態系に生息しており、良く知っていて愛着がある種は守ってやりたいと思うのが人情だし、それは悪いことではない。(中略)ただし、それはあくまで人間自身のためであって、自然のためではないことを自覚したほうがいい。

生物を在来種と外来種にわけるのは、あくまでも一時点だけを見た、人間の都合によるものに過ぎないという事です。そう、昆虫を益虫と害虫に分けるように。

池を干上がらせ、外来種を根絶やしにする事は絶対的な善ではなく、人間の好みの問題だと。

私もアメリカザリガニによって二ホンザリガニが住処を追われるのは悲しいですし、タンポポと言えばセイヨウタンポポになってしまうのが寂しいです。

なんならアメリカザリガニは美味しく料理して食べて良いと思います。

いまや地球上のほとんどの場所で、在来種と外来種が新たな組みあわせをつくり、共存共栄しながら生態系を維持し、疲弊した自然に活力を与え、私たちの暮らしまで豊かにしている。現代ならではの新しい自然の姿という意味で、それを新しい野生(ニュー・ワイルド)と呼ぶことにしよう

ニュー・ワイルドは新しい生態系で、自然の復元力を強くする。

ほとんどの荒れた生態系は時間と共に回復し、多様性を高めている。

そんな事例が紹介され、「一定の時間に自然を戻そうとする」従来型の自然保護活動への課題を提起します。

ダーウィンの言う「適者生存」の意味とは…?

生物や進化の話に興味がある方には、ぜひ読んで頂きたい一冊。

ちなみに、私の近所で見つけた外来種

「綺麗なユリだな~ テッポウユリかな~」

なんて思っていたら、外来種のタカサゴユリみたいです。

タカサゴユリは台湾原産で、テッポウユリに形はそっくりなんですけど、テッポウユリは純白、タカサゴユリは花の外側に紫色の線が入ります。

この花は線が入っていたので、テッポウユリではないですね。

テッポウユリはタカサゴユリに繁殖力で劣るそうで、縄張りを奪われているようです。

テッポウユリとタカサゴユリが交雑し、シンテッポウユリという種も産まれているそうです。

まさにニュー・ワイルドですね…!

繁殖力も高く、花もプリティなのですが、従来のテッポウユリにあるいい香りがしないとか。

ん~ちょっと残念だな~。

Easy oar.

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