書評:独学大全(読書猿)

書評

勉強本を買う程に、学ぶ事に感心を持つことができた者は、それだけ恵まれているということだ。現代では、格差はまず動機付けの段階で現れる

800ページくらいある分厚い辞書のような本だと聞いて、思わず電子版で買ってしまった。

だがこの本は、リアルな書籍として手元においておきたくなる本だった。

この本を読むまでは「読書猿」という著者を知らなかったのだけれども、文章からにじみ出る知性がスゴイと感じ、この著者のブログがあると聞いたので、早速ブックマークに入れた。

読書猿Classic: between / beyond readers
また本を書きました。『独学大全』 9/29刊行です。

さて、本書の構成は大きく、「なぜ学ぶのか」「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」に分かれる。そして、優先順位もこの順番であるとする。

つまり、どう学ぶのが効率的かという「学び方」は枝葉の問題であって、それよりも「何を学ぶか」の方が重要であり、さらに大切なのは「学び続けるか否か」という事。

「イヤイヤ、役に立たないモノを学んでも仕方ないでしょ」って思った?
うん、私も最初はそう思った。

でも今は、なんとなくわかる。一番大切なのは学び続ける事だ、という話。

独学者は自由だ。

学びたければ学べばいいし、辞めたければ辞めればいい。
一度辞めた学びを再開したければ、そうすればいい。

そんな当たり前の事を思い知らされた。

「無知くん」と「親父さん」の、対話形式で書かれたイントロダクションも面白い。

親父さん:いいか、ダイエットを試みると長期的には必ず体重が増加するのと同様に、独学というのはほぼ確実に挫折する。

無知くん:チョット待って!出だしからそれでは誰も読んでくれませんよ。ビジネス書みたいに「この本を読めば何でもとにかくうまくいくんだ」と読者をいい気分にさせないと(読者はその気分にお金を払っているのに)。ダイエットにまで流れ弾があたって書店が火の海になります。

くすりと来た人は、ダイヤモンド社のページで「たちよみ」もできるのでリンク貼っておきます。
https://www.diamond.co.jp/book/9784478108536.html

私事ながら、最近はモンハンをやるよりも、英語辞書を写経したり、簿記を学んでみたり、プログラムを作ってみるという独学に楽しみを感じるようになってきた。

直ちに役に立つわけではないけれども、なんか楽しい。

楽しいのだから、苦痛ではない。

勉強は、「勉めるように強いられる」から苦痛なのだ。

自由に学ぶ事は、楽しい。これは確固たるエンタテイメントである。

楽しめるのは、恵まれているという事だろう。

そして今日も英語辞書を写経する。ありがたや、ありがたや。

Easy oar.

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