無理だと思っていたことが意外とできる話 ~学習性無力感~

心理学・行動経済学

コップの中のノミの話

ノミって小さな虫がいます。

体長は1~9mmですが、そのジャンプ力は体長の約150倍。

2mmのノミでも、30センチは跳べる計算になります。

さて、自己啓発セミナー等でたまに聞く、ノミをコップに入れる実験の話。

コップの中に数十匹のノミを入れてみます。

コップの高さは20センチもないので、
ノミ達は軽々とコップのフチを跳び越え、外に出る事ができます。

それではと、同じコップにノミを入れて、今度はコップにガラス製のフタをします。

そうすると、ジャンプしたノミはガラスの天井に頭をぶつけてしまうので、

徐々にフタよりも低い高さしか跳ばなくなります。

これはノミの脳みそであっても、

「ジャンプすると痛い目にあうから、高く跳ばないでおこう」と学習するからです。

そのあと、ガラス製のフタを取り除いてみます。

もうフタはないので、本来であればノミはジャンプして、コップの外に出る事ができます。

しかし、フタのない状態になっても、ノミ達は低い高さでしか跳ばなくなります。

もう頭をぶつけるガラスの天井はないにも関わらず、です。

低く跳ぶことに慣らされてしまったノミは、もう制約がないにも関わらず、コップの外に出る事ができなくなるって話ですね。

跳ばないノミはタダのノミだ。

この無力感を払拭する方法は…?

さて、このノミの話、

ある事をすると、ノミたちが本来のジャンプ力を取り戻し、
次々とコップから飛び出していったそうです。

さて、いったい何をしたのでしょうか?

…続きは有料で…! というほど大した話でもないので引っ張りませんが、

正解は「違うところから数匹新しいノミを連れてきて、コップに入れる」です。

新しく入ってきたノミ達が、高々とジャンプしてコップから出ていくのを見たノミ達は、

「そうだ、俺たちだってあのくらい跳べるんだ!」と気がつき、本来のジャンプ力でコップから出て行きました。

イイ話だな~

という実験はウソみたいです

いい話だね~。諦めちゃダメってことだね

うん、でも実験自体は真っ赤なウソみたいだけどね

え!? ウソなの!?

いつの時代に、誰が行った実験かが不明だし、有名な話だから再現実験をする暇人も多いと思うんだけど、再現したって報告はないのよ。

話の出所をひも解くと、たいてい「こういう話がある」で終わり、いったい誰がいつどこで行ったのか、現時点では不明です。

コンサルタントとか、セミナーの中で良くなされる話なので、いつの間にか本当の様に伝聞されたのではないでしょうか。

あなたが十分に意地悪で、かつセミナーの講師があなたの給料に影響を与える事がない場合であれば、「その実験は誰が行った実験ですか?」などと質問してみるのも一興である。

本当にあった実験は

このノミの話が広く信じられているのは、それが示唆する「学習性無力感」について、わかりやすく、誰もが心当たりがあるからではないでしょうか。

実際、心理学者のマーティン・セリグマンは、犬に電撃を加える等の愛護団体が卒倒しそうな実験によって、学習性無力感を提唱しました。

曰く「抵抗や回避の困難なストレスと抑圧の下に置かれた犬は、その状況から『何をしても意味がない』ということを学習し、逃れようとする努力すら行わなくなる」

わかりやすさの点ではノミの話に劣りますが、学術的にはこちらが本流です。

「一度無駄だと学習したことは、そのうちチャレンジしなくなる」というのが学習性無力感です。

 

そしてチワワは学ばない

実家でチワワを飼っています。

名前はチャッピー。

この子、お菓子を食べていると「ちょうだい!ちょうだい!」って感じで尻尾を全力で振りながら寄ってきます。

でも人間のお菓子って犬には毒だったりするので、ダメ―!っていつもあげないのです。

でもね、何度あげないよー!と言っても、お菓子を食べようとしていると絶対に寄ってきます。

全然関係ないビニール袋をガサガサしていても、お菓子かと思って「ちょうだい!」してきます。

「こいつもそろそろ、もらえないって学べよな…」

そんな風にも思っていたのですが、ある時気がつきました。

チャッピーは、「次こそはもらえるかもしれない」と、何度も何度もあきらめることなくチャレンジしているのだと…!

「諦めたらそこで試合終了」という事を、知っているのだと…!

チャッピー可愛いよチャッピー!

お菓子はあげないけど。

成功する起業家とかって、失敗にめげない人が多いって聞きますよ。

ウチのチャッピーも、いつかきっと成功するに違いない…!

電撃も与えないから許してね!

いじょっ!

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