ベーシックインカムについて論じているウェブページをサーフィンしていたら、
「ベーシック・インカムは強固な身分制を作り出す」論を発見。
「善意で始めたとしても、ベーシック・インカムは強固な身分制を作り出す」
曰く、
・ベーシックインカムが入ると、「働く人」と「働かない人」に二分される
↓
・30年後、「働く人」と「働かない人」の能力差は非常に大きくなる
↓
・働かない能力の低い人達は、「配給」に依存して生きる他はなくなる
↓
・能力の低い人達は学校など行かないので、勉強もしない。身分が世襲される。
↓
・教育にかける公金を削って、ベーシックインカムの支給を増やす方向に向かう
↓
・少しずつ「小さな政府」から配られるお金で身分の低い人達が「飼われる」ようになる。
<要約終わり>
うーん、なんていうかこう… ディストピアですね、すごーい!
こういう考え方もあるんだなあ…
どちらにしても想像ではあるのですが、私はそんな事にはならないと思うのです。
少なくとも、「親の格差が子に世襲されて強固な身分制になる」という予測は、全く逆だと考えます。
現状だって、格差は固定しつつあるではないですか。ベーシックインカムは、むしろ格差を固定させない方向に機能すると思います。理由は以下の通りです。
・生活のために労働する時間が減れば、より稼ぐためのスキルアップに時間がかけられる
・ベーシックインカムによって希望格差が縮小し、国民全体のモチベーションが底上げされる
より稼ぐためのスキルアップに時間がかけられる
生活のために時間を切り売りするような単純労働についたところで、残念ながらそれほどスキルは上がりません。しかし、ベーシックインカムで生活が保障されているなら、いくらでも自分で学ぶ事ができます。
今はインターネットによって、学習に必要なコストはどんどん下がっています。
私は独学で作曲ができるようになりましたし、アロマテラピーの検定にも合格しました。
今は独学でプログラムを勉強しています。
独学でブログやWebページを作れるようになるし、投資だってシミュレーターで学ぶ事ができます。
教養だって、好奇心次第でグーグル先生が全部教えてくれます。
欲しい本を買ったり、ネット授業を受けるためにお金が必要なら、それこそ単純労働のアルバイトで稼げば良いのです。
もっと稼げるようになりたいなら、必要なだけ稼いで勉強すればいい。
ベーシックインカムは、その勉強のための時間を与えてくれます。
生活のためだけの労働は、しなくても良いのですから。
※もっとも、スキルや人脈を得ることができる仕事に就くことが理想なのは言うまでもありません。
モチベーションを奪う「希望格差」を縮小できる
「モチベーションがあれば勉強するだろうけど、そもそもモチベーション生まれるの?」
そんな疑問が聞こえてきます…
もし、親が子供に十分な教育を与えなくて、あるいは与える事ができなくて、子供の「稼ぐ能力」が低くなってしまったとします。
そうなると、子供は上述の「生活のために時間を切り売りするような単純労働」に従事して生活を支えざるを得ないかもしれません。
学びたいけど学ぶ時間と体力がない、今の状況から抜け出したいけどその余裕がない…
だから人生に対するモチベーションが下がり、セルフネグレクトに陥ってしまう。
今って、そんな状況が結構あるんじゃないですか…?
そんな状況になる可能性を、最小限に抑える事ができるのがベーシックインカムではないでしょうか。
ほんの少しの希望があれば、現状を打破しようと思い立った時に、行動を起こせます。
もちろん、ニートに甘んじる人たちがゼロになるとは思いませんが、アクションを起こす人たちは間違いなく増える。私はそう思います。
ベーシックインカムは、過去に例がない以上、どのような効果を生むのかまだ明確になっていません。だから北欧諸国では「実験」の形をとっているわけです。
ベーシックインカムでどのような社会になるかは、その時の人々の行動次第です。
引用元の筆者が言うように「強固な身分制」が成り立つ可能性もゼロではないでしょうが…
人間、そんなに捨てたもんじゃないと思うな。
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