書評:モチベーション 3.0(ダニエル・ピンク、大前研一・訳)

書評

全くその通りだと思ったよ。

内発的動機づけの本

もはや、アメとムチ(成果主義)では上手くいかない

現在、ほとんどのビジネスの現場では、成果主義=アメとムチがモチベーションを高める手段として用いられている。これはルーティンワーク(決まった作業を繰り返し行う)の現場においては効果が高いものの、クリエイティブな仕事に対しては、有害ですらある。

クリエイティブな仕事がますます重要になる21世紀においては、新しい人の動かし方にアップグレードする事が必要なんだ…!

そう、モチベーション3.0が!

というのが、この本の主旨です。

インセンティブ(報酬)が創造性の邪魔をするという、ショッキングな実験結果も紹介されていたり、なかなか読み応えがありました。

モチベーション3.0とは?

本書では、人間のモチベーションのあり方を3つに定義しています。

モチベーション1.0:生物としての、生存と繁殖のために必要な動機づけ。食欲や性欲。

モチベーション2.0:周囲からの報酬や処罰に反応する動機付け。成果によって報酬が高くなるならば、一生懸命働くという考え方。

モチベーション3.0:活動自体からもたらされる喜びや満足感に紐づく動機付け。内発的なもの。

そして、モチベーション3.0を十分に引き出すには、自律性・マスタリー(熟練)・目的、この3点が必要であり、これらが揃うと人間は「フロー状態」に入り、特にクリエイティブな仕事において最高の生産性を発揮する、と論じています。

おっと、もちろん前提として、公平で十分な報酬が必要とありますので、断じて「やりがい搾取」の本ではありません。ご安心を。

ドラクエは内発的モチベーションしかないじゃない?

私がこのような話を聞いてまず思い出すのは、ドラクエを代表とするゲーム、特にRPGです。

ドラクエで頑張っても、お金がもらえたり褒めてもらえる事は、普通ないです。

でも、好きな人は寝不足になるまでやるんですよね。私もですが。

なんでゲームが楽しいのか、本書に当てはめて考えてみると、

・限定されたがゆえにわかりやすい自律性があって
・敵を倒すとレベルが上がったりお金が増えたりして(マスタリー
・世界を救うという目的も明確

だからじゃないでしょうか。

本書では、ジェノバ・チェンという若いゲームデザイナーを紹介してくれます。

チェンは、ビデオゲームは本質的に、典型的なフロー体験をもたらす可能性があると考えていた。だが一方で、ほとんど異常なまでにのめり込ませるゲームが多すぎるとも考えていた。そこで、たまにゲームを楽しむ人のために、フローの感動をもたらすゲームを作ってはどうだろうかと思いついた。

チェンの作ったゲームは「フロー」というそうで、300万以上のダウンロード数があるそうです。私も今度やってみようと思いました。

また、ゲーム以外でも、有志で作成している3D描画ソフト「Blender」や、圧倒的なカスタマイズ性を持つ「MikuMikuDance(MMD)」などが、完全に無料で提供されているところなども、モチベーション3.0時代の到来を予感させますね。

自分のために、一読の価値あり

いくらモチベーション3.0が大切と分かったところで、今勤めている会社の人事制度にモノ申すのは難しいと思われます。あなたが会社を経営しているなら別ですが。

でも、本書のような知識は「人間の本質」について、理解の助けになると思うのです。

例え全てではないにしろ、少しでも自分の仕事を楽しめるようになるヒントがあるのではないかと。

自分で変えられる環境だって、少なからずありますよ。

そうそう、私は世界にベーシックインカムが導入されたなら、純粋なるモチベーション3.0にドライブされた多くの人達が、とても面白い事をやり出すだろう、と思っていますが、しばらくは導入されなそうです。

でも、少しでも自分が「フロー状態」になれるように頑張りたいな~と感じました。

内発的働きがいが重要という事は結構前から言われていますが、整理して書かれていて文章も面白く、厚い本で時間がかかりましたが満足感はありました。

作者のダニエル・ピンクさんは元副大統領アル・ゴアのスピーチライターもやっていたそうで、文章が非常に面白いです。大前研一さんの訳も上手いんだと思います。

という事で!
Easy oar.

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